うつ症状の再発率が下がる?デイケアにおけるリワークプログラムの費用・内容・期間ガイド 


はじめに


私が通っているデイケアにおけるリワークプログラムについてまとめます。私はとても楽しく通えておりとてもおススメです。費用的な負担も軽く、うつ症状についての対策プログラムのクラスを取り放題です。私はうつ対策プログラムによって服薬治療がシンプルな構成になりました。体調が落ち着いている方は是非挑戦してみて下さい。

リワークのメリット


一日決まった時間に外に出るだけでも通勤訓練になりますし、何より生活のリズムを整えることが出来ます。人と話すことでストレスが解消にもなります。参加者はうつ症状についての理解がある人なので優しく接してもらえます。そして何よりも、家で悶々としているより楽しいです。同じ境遇の人から理解を得られたり、貴重な情報を得られることもしばしばです。私はリワークで自立支援や障害手帳についての情報等も手に入れる事が出来ました。

それからとても重要なのは、リワークプログラムの参加状況を踏まえた上のカウンセリングや主治医からのフィードバックを得られるというのがとても良いと思います。

費用


病院にもよると思いますが、私が通っているクリニックでは、1クラスワンコインです(1クラス500円)。自立支援の1割負担で午前・午後で合わせて1000円、3割負担だと3倍で一日当たり3000円と恐らく自立支援を取得しないと負担は大きいと思います。医療機関によってまちまちだと思うので、是非近くのクリニックのホームページ等で確認すると良いと思います。

内容


集団認知行動療法・運動療法・アサーション(主張訓練)・対人トレーニング・自律訓練法等があります。

集団認知行動療法は詳しくは別ページにて紹介しています。Evidence Based Practiceと言って研究によって抗うつ薬と同等かそれ以上に効果があるという事が証明されている療法になります。特徴としては再発率が1/2程度に下がるとも言われています。

運動療法は2時間の無酸素・有酸素運動を行います。アサーションでは職場での主張訓練のシミュレーションを行い周囲の助けを得たり、相談を適宜できるようになる事を目指します。対人トレーニングでは、参加者同士の対話を通して、対人に抵抗がある人がより円滑にコミュニケーションを取れるようなトレーニングを行います。自立訓練法ではマインドフルネスを学び入眠やリラクゼーションに効果が期待できます。

期間


私のクリニックでは週6日まで好きなクラスを取れます。3ヶ月~1年程度で卒業される方が多いように思います。それ以上通う事も出来ます。

過去一年半でのリワークの影響


私はいかにしてメンタル不全に陥り、そして克服したかについて下記にまとめてみました。私がリワークプログラムから学び取った事は何だったかという事について思いつく限りのことを書いてあります。もし、ご興味がありましたら、少しでも読んでいただけたら幸いです。

リワークで学んだ重要な事


治ると信じる事(寛解する)


純粋なうつ症状は「適切な服薬をしていれば」時間がかかりますが治っていきます。体調が悪いと単純なこの事実に気付きにくいので、実感するためには記録をつける事をお勧めします。一ヶ月単位で比べても解らないレベルでも、三ヶ月や年単位のスケールで見れば治っている事があります。

それから、焦らず、体調レベルにあったことを進める事が重要です。今できる事に集中するという事です。何もできないと思いがちですが、無理のない範囲で出来る事を見つけられると良いと思います。

”問題に圧倒されて、機会を見失ってはならない。”
~P.F.ドラッカー

判断が下せない時


体調が不安定で判断に鈍りが生じている場合、調薬が上手く行っているか確かめる必要があります。正しく考える事が出来ていない場合、考える事を先送りにするのも手です。

大抵の場合は、判断材料が足りていない場合が多いと思います。1人で同じ材料を手に考えても前に進まないので、人に会って話したり(話すだけでも整理になる)、レクチャー・イベントで情報を得たりという事も元気になればできると思います。また、映画を見たり、新しい本を読むというのも状況の打開に有効な場合もあるでしょう。

陥りやすい罠


体調が悪い時に限って、これが出来たらよいという行動の範囲が狭く、ハードルを上げ過ぎている場合があります。どんな行動ができたら成功なのかを具体的に書きだし、それが現実的に可能であるか、目標が高すぎないかを確かめるのが効果的です。

気分が悪い時はそれはそれでしょうがないので、気分が悪い時の過ごし方を決めて、やり過ごすというのも一つの手段でしょう。気分が悪い時に限って、いつもより厳しい見方で自分をチェックするのは止めましょう。

リワークでの気付き


CGBTの目標

“どんな境遇に居ても、不安にならず、心地良い、心が満たされている。”

これがCGBTの最終目標です。私は自分のストレッサーを打ち消すために様々な不安要素を取り除く必要がありました。

常に不安だった


問題は大なり小なり常に存在していて、その中で一番プライオリティ―の高い物が解決されるとその次へと焦点がシフトしていくに過ぎません。この三角形のヒエラルキー構造において、より下の部分の問題解決になればなるほど本当はどうでも良い事を心配しています。

よって、不安リストを再構築しないという事が重要になります。より上位の不安が解消されたら記録をきちんとすることで、現状が過去のある一点より良くなっている事を長い時間、噛み締められると良いと思います。

”適切な視野から悩みを観察すること 「2ヶ月もすれば、この悩みは解消しているだろう。それなのに、なぜ今それを苦にするのだ?”           
~ デール・カーネギー

”恐怖心を持たぬという事。もっとも無用な感情である。恐れたからと言って、その恐れている事柄の起こるのを防ぐことにはならず、かえって、これに対抗するのに必要な力をまず使い尽くすことになる。”            
~ ヒルティ

成功か、さもなくば死を


私の人生にはプランBを用意していませんでした。思い通りの人生や夢を叶えられるということはほぼ無いと思ったほうが自然です。思うようにいかないのが人生です。夢に破れても生きていくことが人生であり、人生とは失敗の連続です。

”全て世間の事柄は、君の欲するままに起これよ、と望んではならない。むしろ世に起こることは、その起こるがままに起これ、と願うがよい。そうすれば君は幸福であろう。”
~ヒルティ

失敗への恐怖


「失敗とは取り返しのつかない事であり、成す術がない」と思っていました。これは私のスキーマでした。しかし失敗はフォローすることで挽回が効きます。自分の中で失敗に対して偏った見方をしていたことに気が付きました。

それから、失敗(ミス)とは評価です。事象ではありません。失敗という概念を写真に取ることはできません。事象としては、恐らくは、想定外の事が起こっているとか、思い通りにいかない、手戻りが発生する、何かに気付く、間に合わないといった変化であって必ずしもネガティブな評価をする必要が無い事に気付きました。

変化が苦しいのは成長の証です。ポジティブな捉え方として、失敗(ミス)は成長のチャンス、上手くできたら自信になる、率先して失敗すれば他の人の気が楽、早く転べば後に有利、積極的にハードルを下げる、新しい事を学ぶ機会、人に聞ける機会、できないやつだと思わせる良い機会等があります。

失敗体験>成功体験

長いキャリアに置いて、事後処理次第では、失敗体験は成功体験に勝る効力があります。むしろ早く進んで失敗すべきという考え方もあります。

”絶えず成功をするということは、ただ臆病者にとってのみ必要である。いな、我々はさらに一歩を進めて、事柄そのものが重大な意義あるものである場合、最大の成功の秘密は不成功にある。” ~ヒルティ

”幸福と不幸とは右手と左手のようなものです。彼はその両方を使うのです。” 
~シエナの聖カタリナ

足りない


私は自分でない自分像を装っていました。人間はかくあるべきという完璧な自分像を掲げ、そうでない自分をストレスに感じていました。現実的でない目標設定を常にしていたため、自己受容が出来ていませんでした。

これは他人との比較によって引き起こされていました。他人と比べている時点で自分軸を見失っています。幸福度とは他人との比較で落ちるという事が指摘されています。自分なりのあり方というのを大切にでき、現在の自分で良いと思える事が自己受容に繋がります。現在自分でできる事をやれば充分です。

”私の経験によると、最も安全なやり方は、本来の自分でないものを装っている連中を、できるだけ早く首にすることである。”
~デールカーネギー

時間が足りない


私は欲張りでした。人は一度に一つしか物事を進められません。優先順位を考慮し、できない事は諦めるしかないのです。相対的に重要度が低い物を切捨てていくしか道はありません。

こんな単純な事にも私は気づかず、あれもこれもと貪欲になっていました。

”現在集中して取り組んでいる仕事以外の物にコミットしてはならない。現在の仕事を終わらせた後、改めて状況を検討し、優先すべき次の仕事を選ばなければならない。”
~ピーター・ドラッカー

貪欲


自分の望んでいるもの、欲しい物を全て手に入れる事。お金、仕事、家庭、健全な身体、これらすべてを。これは無理な相談です。すると、自分がもっているものを見直して、これに感謝すること、人生に多くを求めないことが必要になる事が分かります。(~出典:ダライ・ラマの心の育て方)

”人生を生き抜くたった一つの方法は、自分の持っているものの価値を見直し、自分が今できる事を見直すことだと分かってきたんです。私の場合、幸い脳には損傷を受けていなかったから、まだ自由に使える精神を持っている。”  
~クリストファー・リーブ

常に何かを欲していた


欲しい物は大なり小なり常に存在していて、その中で一番プライオリティ―の高い物が解決されるとその次へと焦点がシフトしていくに過ぎません。この三角形のヒエラルキー構造がより高次元の欲求になればなるほど本当はどうでも良い事を欲しています。

私はこの一番頂点にある欲求を押さえる事で、欲しい物のリストを再構築しない事を学びました。

カッコつけていた


私は自分の一番良い所を見せたいという思いに囚われていました。最高のパフォーマンスを求め、失敗は許されないと考え、そしてハードルをどんどん押し上げていました。その裏にあった思考は「カッコつけたい」です。裏読みをすれば、「恰好をつけていない自分に魅力はない」ということになります。

本来自己受容が出来ていれば、恰好をつけなくても魅力はあると思えるはずです。また、謙虚である事、多少見下されるくらいでちょうど良いという考えも有効です。

“清廉潔白に身を保つためには、世間に輝き出ようとする欲望を捨て、浅薄な虚栄心や、心を乱す名誉心、権勢欲を去らねばならぬ。“
~ヒルティ

患者の視点から考える寛解


患者の視点から考えた寛解とは以下のものが例として挙げられるそうです。リワークプログラム参加の結果、各項目も現在はだいたいクリア出来ていると思います。

・前向きな気持ちがあること✔
・いつもの自分だと感じられること✔
・仕事、家庭又は学校での機能が普段のレベルに戻ること✔
・感情をコントロール出来る事✔

転職後まず行う事


リワークを修了し、仕事に復帰後は下記の事を念頭に行動しようと思っています。どれもリワークプログラムで学んだ事です。

まずは、一応、常に撤退できる準備をしておこうと思います。体調が完全崩壊する場合、もしくは職場を変える必要がある場合等、複数の道を予め準備しておく予定です。又、予定を組む場合は多少体調が崩れた場合のシナリオも加味し、体調が崩れない事を前提にぎっちり予定を組まないようにしようと思います。

それから、頼れる人間関係のベースを日頃から作っておこうと思います。仕事以外の面で人間関係をある程度作っておくことで、もしもの時の相談がしやすいようにしようと思っています。

よく頭に入れておく事


精神的に追い込まれて辞める人は多いが、無能で辞めさせられる人はそんなにいないという事。頑張り過ぎて自滅しないように気を付けようと思っています。それから、大局観を見誤らない事も重要です。プロジェクトの失敗程度で、クビまで至りません。むしろプロジェクトの成功より、体調を気遣う事を忘れないようにしようと思います。又、再発防止>仕事の慣れです。安定的な労働力を提供出来ている限りOKだと考えるべきでしょう。

能力が足りてないと感じる時の対処


遅くとも着々と物事を進めていける人は役に立つと信じる事です。バカに徹する。自分を偽らない、装わない。凄い天才になる必要は無い。3年後仕事が遅い後輩を迷惑に思うだろうかというのも一つの考え方です。それから、断る、助けを求めるというのも重要なスキルです。

上司から高い目標を求められる場合


周囲と同じレベルの目標設定を自分に課さないというのが重要です。比較ではなく、スモールステップ・自己評価基準を低く抑え、出来高の加点方式で出来たところを自己評価できると良いと思います。それから、手の内を見せないというのも重要になると思います。無理に期待に応えてしまうと、次のハードルが上がる事を忘れてはいけません。

よく怒られる場合


叱責は、過剰に注意されているという事であって、背後には期待があるという事を忘れないようにしようと思います。上司は業績を上げたく、私もあげたいので双方の意図は一致しているはずです。なるべく、ねぎらい、同意を忘れないようにしたいと思います。

又、配慮が下手な場合は真に受けないのもポイントになると思います。言葉そのものでなくその真意を汲み取ることや、人はしばしば立場で物を言う事もあるということを常に覚えておこうと思います。

”不当な非難はしばしば偽装された賛辞であることを忘れてはならない。“ 
~デールカーネギー

”非難は賛辞より安全である。” 
~ナポレオンヒル

”死んだ犬を蹴飛ばす者はいない“ 

終わりに


以上で、リワークプログラムから得た学びの紹介は終わりです。最後に、苦しい時に支えになった言葉を紹介します。最後まで読んで頂きありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。

”ただ、勘違いしちゃいけないのは、
下に落ちるっていうことが、
進化してないということではないんですよ。
下に落ちるのも、
次に昇るための変化かもしれない。
昇るために、
落ちることが必要なこともある。”
-本田圭佑-

寛解~再発・休職・退職・減薬そして増薬まで「ぼの」のうつ日記

2010年にうつ病に倒れてから2016年11月に仕事をやめるまでの簡単な年表と、2016年~2017年8月までのリワークプログラムに出会った経緯を紹介しています。

概略はこちら
「ぼの」の病気の経緯

 「ぼの」が認知行動療法の他に何をしていたのか興味がある方はご覧ください。核心を先に知りたい方は行動認知療法との出会いの項から読んでいただけますと、それでも充分流れは掴めると思います。

2010年
    4月初めてうつ病と診断休職
2011年
    セカンドオピニオン+転院
2012年
    4月寛解復職
    9月再び休職
    12月復職
2013年
    業務負荷と共に増える薬
2014年
    業務負荷と共に増える薬
2015年
    8月3度目の休職
    11月復職

2016年


    11月退職

倒れた12月



ゲーム探し
ウォーキングアプリとの出会い
罪悪感との闘い
心を磨り潰される減薬

2017年


寝ていた1月


睡眠不足は致命的
引き籠りストレス
般若心経を読む

失われた2月


チャンネル不足
身支度ができない
社会とのつながりの喪失
朝起きれないと色々困る

歩き始めた3月


図書館は針のむしろ
カフェに挑戦
バーに重なる昔の姿
できない日
予備校に行く決心

立ち上がった4月


レンタルオフィス
メンタルクライシス
最後のパニックアタック
リワークプログラムは有効
認知行動療法との出会い

安定しない5月


3日倒れて二歩前進
厳しめの選択肢と自信
諦めかけた初めての模試

悟りの6月


緊張性の胃痛に襲われる
中核信念・スキーマを探して
鬼のような通学

挑戦した7月


朝走るのは難しい
「ぼの」は夜寝れない
再び動けなくなる

繰り返す8月

認知行動療法に再びトライ
辛い通学と製図の練習

操転が始まる9月


椅子を蹴りつけ打撲