書籍レビュー:自分でできる認知行動療法 うつと不安の克服法

認知行動療法とは本来医療機関で受けられるものですが、1人でも学べるワークブック的なものも存在します。その中で私のオススメの本を紹介しようと思います。

この本はどんどん書き込みながら学べるタイプのワークブックです。全部で12週間分のエクササイズが載っています。全体を通じて解り易く簡単に始められるのが魅力です。無理なく継続できると思います。最後の方は少し挑戦的なエクササイズも見られます。

私がリワークプログラムで受けている認知行動療法とは考え方は大筋一緒なのですが、手法に違う部分があります。大まかな流れとして、「認知」に関しては、まずは感情をとらえる事から始め、認知の修正により不快な気分を軽減するというのは共通している所です。それから「行動」に関して、体調に合わせた、快い気分になる行動をとりましょうというのも、リワークプログラムと本書の共通したコンセプトになります。

認知行動療法の大筋は押さえられていると思います。感情をまずは捉え、感情点数によって点数化して表現する方法を学び、その時の思考を書き出す習慣を養います。それができたら、「別の考え方」を書き出し、感情点数と、思考の確信度の改善を確認するというやり方です。

感情をより細やかに捉えられると対策がしやすくなるのは確かですので、この大筋のエクササイズはとても役に立つと思います。細やかに捉えられるという事は、例えば、食レポみたいなもので、より繊細な表現ができる事で、自分の感情(味)を把握し易くなり、その結果、対策に結び付きやすくなるという傾向があります。

欲を言うと、この「別の考え方」というところの定義づけは、より現実に即したものであると良いのではと思いました。リワークプログラムでは、別の考えを「ポジティブ」である事ではなく、「現実に即した=客観的な根拠がある」考えを探すように習いました。無理にポジティブに考えるのではなく、中庸な考えを探せるとより良いと思います。

それから、本書では考えの癖を3つのパターンに分析していますが、これはさらに細分化して考える事ができると思います。しかし、12週間のエクササイズの中で大筋を学ぶ中では、3つのパターンがあれば十分だともいえるでしょう。

本書にはオリジナルの課題もあります。自己肯定課題に取り組む、反芻逸らし等の課題は始めてでした。私は自己肯定感が低いので、即効性のあるエクササイズでした。それから、反芻もかなり多い事が分かったので、対策を進められそうです。 

一方「行動」については本書では上級編に位置付けられています。というのは、行動についてはかなり踏み込んだ内容となっているからです。快い気分になる行動を取るだけでなく、「回避行動」を修正するというかなり高度なスキルについてのエクササイズがあります。さらに、不安階層表で不安感を見える化し、ある程度不安な状況にわざと自分を曝すことで不安に慣れるという、少し苦しめのエクササイズも載っています。

私も、確かに回避行動を多くとっている事があるため、今はまだ時期が早いかもしれませんが、充分に体調が回復している時にこのエクササイズを行う事で、より自由に自分のやりたかったことが出来るようになると良いなと感じました。

自分でできる認知行動療法 うつと不安の克服法