心を磨り潰される減薬

この罪悪感、不安感、絶望感が入り混じる中、私は減薬に踏み切ります。今から考えると、かなり無謀だったと思います。結果論として、よかったのかもしれませんが、とても危険だったと今でも思います。

減薬の理由としては、おそらく働くためにいままでは薬を沢山入れていたということがあったはずだと思っていたので、働く必要がもはやなくなった以上、減薬できるだろうという考えでした。

勿論、主治医に相談の上、少しずつ行っていきましたが、最初に引いた量だけでも夜は悪夢のジェットコースター、昼は不安感が増幅され、とてもじゃないけれど続けられないというような状況でした。

再び主治医に相談し、減薬量をさらに細かく半分にしてもらい、それでも辛い夜に耐える日々が始まります。

当時飲んでいたメインの抗うつ剤はサインバルタでした。

私はサインバルタの飲み初めにかなり副作用が強く出ていたので、減薬するときも同様の副作用と、それに加え、極度の不安や精神過敏な状態というのが顕著に出ました。

特に罪悪感と向き合う夜には、それは胸に穴が開くような辛い思いがあり、正気を保てなくなるのではないかという焦燥感にかられながら毎日を過ごしました。

具体的には60㎎から10㎎ずつ一ヶ月おきに引いていきましたが、体調があまりにも悪く、隔日で量をもどしたり、細かな調整をしながらの減薬でした。

そんな中、年は明け、2017年が始まります。

罪悪感との闘い

罪悪感、これにどう対処するか、これは当時の私にとって一番難しい課題でした。仕事でもプライベートでも、自分が社会から消えることでいろいろな人に迷惑をかけてしまったという事に対して、自分がどう対処できるのか。

当時自分の中で一番体に堪えていたのはこの罪悪感でした。罪悪感に対して、私は無力であり、そして、今でも罪悪感が私から消える事は無いように思えます。

私はこの罪悪感と向き合い続けることでしか、償いを見いだせなかったのです。時間だけが、少しずつ解決してくれるような気がしていました。

減薬

ウォーキングアプリとの出会い

アプリを探しているうちに思いついたのは、ランニングアプリでした。走ったり歩いたりした記録をつけられる、もしくは自動的につけてくれる、アプリです。

イングレスを少しやった私は、あまり身支度もせずに寝間着で近所を歩く程度であれば、頑張れば何とか出来ました。当時歩くということは疲れるのであまりしたくなかったのですが、ゲーム感覚で少し歩くことは出来ました。

インストールしていたアプリは2種類ありました、一つは動いた量からカロリーを測定してくれるアプリと、もう一つは走り方のコーチをしてくれるアプリです。

自分が歩くことで、それが記録に残り、通算距離や消費カロリーが表示されるということは達成感に繋がり、当時、何も達成することができなくなっていた私にとって、ひとつの心のより所になっていたと思います。

疲労感はひたすら寝る事で和らぎましたが、体力が全然無い状態から、歩き始める事で、体力回復につながる小さな一歩が、早い段階で踏み出せたと言えます。

罪悪感との闘い

ゲーム探し

会社をやめてから、まず行ったことはゲーム探しでした。

当初はとても不安定な精神状態でしたから、まず気晴らし的な没頭できる何かが欲しかった時期です。少しでも不安定な気分から目を逸らせることができればそれで良かったという、むしろそれだけ追い詰められていたという事です。

生産的でない行動であっても良いからとりあえず、生き永らえるということが私にとって一番重要な目標でした。今から考えると呼吸は酷く浅く、常に疲れていて、不安と絶望感でいっぱいでした。今から考えると、この「一時しのぎで生き永らえる」ということは正しい選択だったと言えます。

完全に退廃的な思想で頭は感情のハイジャックを受けている状態で、現実に対して自分が能動的に解決に回るという考えが未来に起こるという事は全く予想できませんでした。ただ、その曲面を無事に乗り切るということが必要でした。

不安から逃げられれば、方法は問わない。そこで、比較的非生産的なゲームという逃げに走りました。PCゲームと携帯と両方のゲームを探しました。

まずは当時話題のポケモンGOですね。アプリの容量が重すぎて、Wi-Fiのない環境ではダウンロードに失敗してしまい、結局インストールできずに諦めました。

次に、手を出したのはイングレスでした。ハマるらしいという事と、運動にもなりそうだということで、インストールに成功しました。しかし、近所を平日にフラフラしていると怪しいという事と、防衛線がかなり厳しく敷かれている事に気づき、無力感に苛まれ、これも二日程度で断念しました。

他にもいくつかのアプリを試しましたが、なかなか合うものが見つからないままに、日々は過ぎていきました。

ウォーキングアプリとの出会い